多くの企業が、自社の製品やサービスの使い方などを説明するヘルプサイト(オンラインマニュアルやQ&Aサイトとも呼ばれます)を公開しています。ヘルプサイトを公開する目的としては、次のようなものが挙げられます。
これらのうち、もっとも重要度の高いのは、「お客様に自力で問題を解決してもらうため」ではないでしょうか。なにか疑問やトラブルがあったときに、都度電話で問い合わせをしなくても、マニュアルを読んで自己解決してもらうことができれば、カスタマーサポートの負担を減らすことができますし、お客様にとっても、夜間や休日などサポート窓口が対応してくれない時でも解決のための情報を得ることができるので、顧客満足度の向上につながります。
ところが、せっかくヘルプサイトを作ったのに、ぜんぜん読んでくれない。お問合せが減らない。という声を聞くことがあります。これらの多くは、以下のどれかに原因があります。
今回は、このような問題のあるヘルプサイトを改善して、お客様が自力で問題を解決できるようにするための、ポイントについてまとめてみます。
いくらマニュアルがあるからといっても、利用者はマニュアルを隅から隅まで読むわけではありません。カメラアプリのマニュアルであれば、今自分が使おうとしている、オートフォーカス機能についての情報が得られるだけで十分なのです。オートフォーカス機能の説明がどこに書かれてあるかわからず、探すのが面倒だと思った利用者は、カスタマーサポートに電話しようとするでしょう。そうさせないために、利用者がマニュアルの中から情報を探しやすいことはとても重要なのです。
サイト内を検索できる機能を用意しましょう。作ったことのある人ならわかると思いますが、ヘルプサイトに検索機能を持たせるには意外とハードルが高いものです。ですが目的の情報を探すためには検索機能は必須です。CMSなどのツールを使ってマニュアルを作成する場合には、検索機能があるものを使うのが望ましいです。あいまい検索や、検索結果の候補を表示してくれる機能があると、いっそう顧客体験を良いものにしてくれます。
どうしてもサイトに検索機能を持たせられない場合は、Google検索をフル活用してください。結局のところ、もっとも顧客体験が良いのは、スマホを取り出してブラウザの検索窓に「(製品/サービス名)+(機能名)」と打ち込むだけで知りたい情報が得られることです。それに勝るものはありません。検索エンジン最適化についてはさまざまなテクニックやノウハウがあり、とてもここには書ききれませんが、最低限抑えておいたほうがいいポイントだけ挙げておきます。ヘルプサイトの検索エンジン最適化にご興味のある方はご相談ください。
当たり前の話ですが、マニュアルにはそれを作る人がいます。そして「作る人=使う人」ではありません。ですからどうしても、マニュアルは使う側の視点がおざなりにされがちなのです。これはマニュアル作成の全般をとおしていえることなので、常に頭に留めておく必要があります。作る側からの視点で作られたマニュアルは使う側からすると読みづらく、理解しにくいものになります。
例えば例を挙げてみます。カメラアプリの機能を説明するマニュアルを提供したいとします。作り手からすると、搭載している機能はすべて頭に入っていますから、それを順に説明しようとします。
ところがこれだと、動画をメインで使うユーザーは「撮影機能」>「動画の撮影」を探してから、「再生機能」>「動画の再生」を探さないといけなくなります。ユーザーは機能のことを知らないので、撮影機能とか、再生機能といわれてもピンときません。本来は、機能で分けるのではなく、利用者の用途で分けるべきなのです。
これで写真を撮るユーザーにも、動画を撮るユーザーにも目的の情報が探しやすくなりました。各章のタイトルや見出しについても、例えば「フラッシュ機能」ではなく、「フラッシュを使って暗い場所を撮影する」といったタイトルをつけましょう。フラッシュ機能という機能を知らなくても、ああ、暗い場所を撮影したいときはここを読めばいいんだなと理解することができます。
同列の説明を並べるときは、機能の名前順とか開発者の好きな順で並べてはいけません。次のどれかの順番で並べましょう。
これはわたしが住んでいる川崎市のホームページにあるごみの出し方についての説明ページです。よく使われそうな順に並んでいます。
さらに、説明の文章そのものについても読み手が理解しやすいよう、気を配ってみてください。例えば、次のような説明があるとします。
電話アプリの履歴ボタンをタップして、発信したい通話の通話アイコンをタップすると、電話がかけられます。
最後まで読まないと、なにを行うための説明かがわかりません。ここでやりたいことは電話をかけることですから、
履歴から電話をかけるには、電話アプリの履歴ボタンをタップして、発信したい履歴の通話アイコンをタップします。
と書けば、より利用者の視点に立つことになります。
せっかく苦労して作ったヘルプサイトですが、公開したらそれで終わりというわけにはいきません。マニュアルは更新しつづけてなんぼなのです。クラウドサービスなどの場合、機能が毎月のようにアップデートされることは普通のことですから、ヘルプサイトもそれに合わせて更新しないといけません。誤った情報、古い情報を記載してユーザーを混乱させると、かえって問い合わせが増え、カスタマーサポートのコストが高くつくこともあります。ソフトウェアに関していえば、頻繁に変更が発生する画面のスクリーンショットなどは最小限にとどめておくべきでしょう。
ヘルプサイトを継続して改善していくには、カスタマーサポート部門との連携が不可欠です。お客様はマニュアルを読んだうえで質問してこられるわけですから、お問合せの内容を分析することで、ヘルプサイトに書かれている内容が不足していないか、わかりにくい表現になっていないか、改善のための判断材料になります。また、検索履歴やアクセス履歴を分析することで、閲覧者がどんなキーワードで訪問しているのか、よく見られている記事はどれか、滞在時間はどれくらいかなどを把握することができます。これらも改善のための重要な材料となります。
今回はお問合せを減らすヘルプサイトの作り方について紹介しました。ヘルプサイトの質を上げることは、お問合せ対応の負担低減につながります。ぜひ紹介したポイントを確認してみてください。
この記事の内容をPDFにまとめた資料をダウンロードすることができます。ここでは紹介しきれなかった以下の内容についても盛り込まれています。この機会にぜひご利用ください。