活用ブログ
お役立ち資料

ノーコードによる業務システムの民主化で生まれる新たな課題とは

ノーコードによる業務システムの民主化で生まれる新たな課題とは

DXにより業務システムの中心はクラウドへ

かつては業務システムといえば、システム開発会社に委託して、その企業の業務に特化した専用システムをオーダーメイドで作るのが一般的でした。なので、業務に必要としない機能はシステムに一切存在しませんでした。それは当然で、不要な機能まで開発していたらそれだけ開発費用がかかってしまいます。システムの画面も業務に必要な機能だけが並んでいるわけですから、シンプルです。もしどうしても操作がわからなかったら、システムを使うためのマニュアルがあって、そこに操作方法が丁寧に画面のスクリーンショット付きで書かれていました。もちろんそのマニュアルは紙に印刷されたもので、システムを開発した業者が作って、システムと一緒に納品していました。

一方で、現在はどうでしょうか。ビジネス向けのクラウドサービスの普及によって、自社でシステムを開発する余裕のない企業でも、ITシステムを駆使して業務を行うことができるようになりました。いわゆるDXというやつですね。

また、キントーンのようにノーコード、ローコードで業務システムが作れるツールが出てきたことによって、システム開発ベンダーに依頼しなくても、利用者自らが業務システムを作れるようになりました。いわゆる「市民開発」というやつです。

ところが、ここで新たな課題が生まれることになります。ひとつずつ説明していきましょう。

機能が多すぎることによる弊害

クラウドサービスというのはいろんな会社がいろんな用途で使うために作られた汎用的なものですから、利用者全員を満足させるためには多くの機能が必要です。つまりある会社にとっては必要でも、ある会社にとってはまったく必要のない機能がたくさんあることになります。機能が100個あったとしても、実際に業務で使うのはこのうちの3つかもしれません。こうなると、ITの知識があまりない一般のスタッフにとっては、どう使えばよいのだろうと迷ってしまいます。例えばスマートフォンを触ったこともない人にiPhoneを渡して、数多くあるアプリの中からSNSのアプリを起動して動画をアップロードしてくださいというようなものですね。やり方を覚えてしまえば大したことはないかもしれませんが、慣れるまでにそれなりの訓練が必要だということは想像いただけるかと思います。マニュアルを読んで使い方を調べようにも、機能が多すぎてどこを読めばいいか途方に暮れてしまうかもしれませんし、そもそも書かれている専門用語がわからないことも多いです。

日報の作り方はどこにも書かれていない

業務で使うシステムの使い方で迷ったとき、知りたいのは案件の登録のしかたや、日報の作り方です。ところが例えばセールスフォースやキントーンのマニュアルを読んでも、「オブジェクト」やら「レコード」なるものの説明は書かれてあっても、日報の作り方はどこにも書かれていません。それは当然で、セールスフォースやキントーンのようなノーコードツールはあくまでも業務システムが作れる「箱」を提供しているだけで、その箱を使って案件管理や日報など、具体的な業務にどう適用するかは、使う側に委ねられているからです。つまり、自由度が高くさまざまな組織や業務でカスタマイズして使える代わりに、案件管理や日報で使いたかったら、使い方は自分で工夫して考えてね、となるわけです。では新入社員が案件を登録したかったら、何を見ればやり方がわかるのでしょうか。

クラウドサービスは組み合わせて使うのが一般的

さらに、クラウドサービスを導入する企業は、さまざまな用途のツールを組み合わせて使うのが一般的です。経理処理を行うサービス、決済を行うサービス、オンラインチャット、顧客管理、メール、スケジュール管理、文書管理など、それぞれの用途に特化したクラウドサービスを組み合わせて、業務システムとして使っている企業は多いのではないでしょうか。そうすると利用者にとっては、より覚えなければならないことの負担が大きくなります。

そのマニュアルにスクリーンショットはありますか?

クラウドサービスは日々改善されていくものです。月々の利用料を支払い続けていれば、利用者はその改善の恩恵を受けることができます(時には改悪といわれる変更もあるかもしれませんが)。かつてのようなオーダーメイドのシステムでは、システムは一度納品すれば、作り直しを除いて画面などに大きく変更が生じることはありません。なので納品するマニュアルにもしっかり画面のスクリーンショットを掲載することができました。クラウドサービスでは、画面も機能も毎月のように更新されていくことがほとんどです。なので機能を追加変更したら、マニュアルも修正することになります。実はこのマニュアルの修正コストは馬鹿にできません。画面の文言を一文字変更しただけで、スクリーンショットを掲載し直さないといけません。そのサービスが多言語に対応していたら、すべての言語におけるマニュアルの差し替えが発生します。なので、特に多言語でマニュアルを提供しているサービスのベンダーは、マニュアルにスクリーンショットをなるべく掲載しないでおこうと考えるでしょう。

属人化をなくすDXが逆に属人化を生む原因に

DXの大きな目的は、属人化をなくして業務を効率化することです。しかしノーコードツールを活用している企業の担当者からは、「自分がいなくなったらこのシステムをメンテナンスできる人がいない」という声もよく聞きます。属人化をなくするためにDXを推進したはずが、逆に属人化を生むことになったわけです。ノーコードツール単体では自分たちの業務に適した機能が不足しているとき、なんとか工夫してツールを業務に合わせようとします。しかし工夫してカスタマイズすればするほど、別の人に管理を引き継ぐのが難しくなってしまいます。

どうすれば解決する?

ここまで読んでいただいた方はピンときているかもしれませんが、ノーコードが当たり前の時代に、あなたの業務システムのためのマニュアルを作れるのは、あなただけなのです。業務に必要な機能を洗い出し、普段業務で使っている言葉を使って、あなたの業務のためのマニュアルを作ることで、より組織全体でクラウドを活用した業務改善を加速させることができます。マニュアルや手順書をきちんと残しておくことで、別の人にシステムの管理を引き継ぐこともできます。業務効率化のためにクラウドの利用が当たり前になった今こそ、業務マニュアルの作成に取り組んでみてはいかがでしょうか。

こちらの記事も合わせてご覧ください。